東京大学付属病院(東京都文京区)の医療機器の選定を巡る汚職事件で、東京地検は10日、収賄罪で同病院医師の松原全宏(たけひろ)容疑者(53)を、贈賄罪で医療機器メーカー「日本エム・ディ・エム(MDM)」(新宿区)の元東京第二営業所長、鈴木崇之容疑者(41)を起訴した。
同病院の医師に奨学寄付金名目で賄賂を渡していた医療機器メーカーのMDMは、どのように医師と関係を深めていったのか。教育研究の発展を目的とする寄付金制度などを悪用した医師との癒着。その実態を、MDMの元社員が本紙に証言した。(昆野夏子)
「製品で勝負しようとせず、金や接待で何とかしようとする企業風土」
数年前まで同社で働いていた元社員は、そう言い表した。

イメージ写真(記事と写真は直接関係ありません)
元社員によると、2019年、松原被告への寄付金額を検討する会議が開かれた。
「同僚が会議に出席した。当時の営業所長から担当者に『東大はどうする?寄付金額はいくらにする?』という発言があった。その場には鈴木被告もいた」と明かす。
後日、営業所長や担当者で寄付金額を最終決定したとみられる。
寄付以外にも癒着はあった。
医師と「顧問契約」を結び、講演やリポートの執筆など本来の顧問業務をしなくても、医師の口座に顧問料を振り込んでいた。
講演会を実施したように装う虚偽の議事録も作成していたという。
みなし公務員となる公立病院の医師に対しては、焼き肉やすし、鉄板焼きなどの高額飲食接待をして、私立病院の医者という名目で領収書を切っていた。
上司の手口を部下もまねて代々受け継がれていたという。
元社員は「大手ではないMDMの製品をあえて使ってもらうには、...
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