中野と阿佐ヶ谷に挟まれたサブカルチャーの街・高円寺。今回は、大ヒットアニメ映画の聖地「気象神社」、滋味あふれる山形の郷土料理を楽しめる「山形料理と地酒 まら」、人気芸人行きつけの老舗居酒屋「和田屋 高円寺店」を紹介します。
イラスト:杉崎アチャ
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独自のカルチャーが形成されている中央線沿線において、バンドマンや芸人が多く集まる街として存在感を放つ高円寺。駅前からそれぞれに個性豊かな5つの商店街が伸び、八百屋や肉屋、古着屋やライブハウス、個人経営の飲食店が立ち並びます。毎年8月末の土日に開催される高円寺阿波おどりは、約1万人の踊り手と約100万人の観客が参加する、都内でも最大規模のお祭りです。高架下の再開発も進んでおり、令和5年(2023年)に商業施設「高円寺マシタ」がオープンしました。
「高円寺純情商店街」は、以前は「高円寺銀座商店街」という名称でした。平成元年(1989年)に同商店街を舞台にしたねじめ正一の小説「高円寺純情商店街」が直木賞を受賞し、それを機に現在の名称へと改名されたそう。
高円寺駅の北口を出ると、まず目に入るのが「高円寺純情商店街」のアーチ。アーチに乗り、道行く人を見守る可愛らしいキャラクターは、杉並区のマスコット「なみすけ」です。アジア雑貨店やラーメン店、せんべろ居酒屋が並ぶ純情商店街を軽く散策したら、南口側に回って「気象神社」に向かいましょう。
「気象神社」があるのは、「高円寺氷川神社」の中。入口にある大きな気象表示板が目を引きます。令和元年(2019年)公開のアニメ映画「天気の子」に登場したことから聖地として注目を集め、今も台湾や東アジア諸国からも多くのファンが訪れるそう。晴天祈願に訪れるアーティストやイベンターも絶えないらしく、そのご利益はお墨付き。カラフルなてるてる坊主のような見た目が微笑ましい「照々みくじ」を引いて、山登りに行く予定の日の晴天を祈願しました。
「高円寺氷川神社」拝殿。今では都内有数の大規模なお祭りとなった高円寺阿波おどりは、氷川神社への奉納踊りとして始まりました。
次に向かったのは、「気象神社」からすぐの場所にある「山形料理と地酒 まら」。ほとんどのお客さんがオーダーするという「芋煮」をいただきます。「山形では、芋煮はパーティフード。川辺にみんな集まって楽しむ芋煮会はバーベキューにも似ているし、街コンのような出会いの場でもあるんですよ」と教えてくれたのは、副社長の髙橋さん。いつか、芋煮を囲んだ「イモニケーション」に参加してみたいです!
駅に戻って高架下を抜け、最後に訪れたのは、昭和の佇まいを色濃く残す老舗居酒屋「和田屋 高円寺店」。若大将のニイヌマさんとまらの髙橋さんは、一緒に鮮魚の仕入れに行く仲なのだそう。迷わず、髙橋さん一押しの「さばみそグラタン」をチョイスしました。さらに、ガツンと濃い「ホッピーセット」をぐびり。次第に賑わっていく店内の一角でほろ酔い気分になりながら、高円寺の夜が更けていきます。
「気象神社」に祀られているのは「八意思兼命(ヤゴコロオモイカネノミコト)」という知恵の神様。晴、曇、雨、雪、雷、風、霜、霧からなる8つの気象条件を司ることから天気の神様とも言われるようになりました。
国内唯一の天気の神様を祀る神社。昭和19年(1944年)、杉並区馬橋地区にあった陸軍気象部構内に造営され、終戦から3年を経た昭和23年(1948年)、高円寺氷川神社に遷座されました。近年では天気をテーマに街おこしを手掛け、令和4年(2022年)に気象観測システムPOTEKAを設置。入口にある気象表示板でリアルタイムの観測結果をチェックできます。
照々みくじ(500円)は全8色。お顔とお願いを書いて指定の場所に奉納できます。持ち帰ってバッグなどにつける人も多いそう。
職員
コロナ禍の時期に一念発起して猛勉強し、気象予報士の資格を取得しました。現在は境内の会議室を利用して講座を開き、高円寺から気象予報士を輩出することを目指しています。これからも毎年12月の「お天気フェス」などを通して、高円寺を「お天気の街」として盛り上げていきます!
参拝者
以前、結婚式の晴天祈願に訪れました。当日は雨予報だったのですが、なんと結婚式の最中だけは雨が弱まったんです!おかげでとても良い式を挙げることができました。近いうちにお礼参りに伺いたいと思っています。
<データ>
住所杉並区高円寺南4-44-19
電話03-3314-4147
参拝時間早朝~17:00
次ページに続く。滋味あふれる山形の郷土料理を楽しめる「山形料理と地酒 まら」、人気芸人行きつけの老舗居酒屋「和田屋 高円寺店」をご紹介します。
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