東京都豊島区は11日、区や教育委員会の職員ら計84人がうその通勤経路を届け出て、不正に通勤手当を受け取っていたと発表した。受給総額は989万円に上り、管理職を含む12人を懲戒処分とした。監督責任として高際みゆき区長を減給10分の2(1カ月)などとする条例案を今月開会の区議会定例会に提出する。
区によると不正受給したのは、職員80人と元職員4人。通勤手当を受ける正規職員1871人の通勤経路を昨年9、10月に調べたところ、届け出ていたバスや電車を利用せず、徒歩や自転車、家族の送迎などで通勤していた。記録が残る2011年10月以降、不正を続けていた人もおり、最高額は91万円だった。本年度中にも全額返還される。
職員らによる通勤手当の不正受給を謝罪する高際みゆき区長(左から2人目)=11日、東京都豊島区で
不正受給に関する情報が2021年12月と2022年1月に匿名で寄せられたことから、1年おきに行っていた調査を厳格化した。以前は必要なかった定期券の写しやICカード履歴の提出を求め、届け出と異なる職員に面接をした結果、全員が不正受給を認めた。
区は今月10日、不正受給をした副参事と教委事務局の統括指導主事を減給10分の1(1カ月)、10人を戒告とした。68人は担当部長から口頭で厳重注意を受けた。元職員4人は今年3月に退職しており、処分の対象にはならない。
豊島区役所
また、不正受給に関する情報提供を上司に報告せず、速やかに調査しなかったとして、当時の総務部参事も区長から口頭厳重注意を受けた。
高際区長は区役所で会見を開き、「区政への信頼を失墜させる重大な事案。責任を痛感する」と謝罪した。(中村真暁)
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