不登校児童・生徒を支援する民間企業「スダチ」(東京都渋谷区)が板橋区教育委員会との連携を発表した後、同教委がその内容を否定し混乱が広がった問題で、区教委は一連の経緯についてホームページに説明文書を掲載した。公開は5日付。
文書によると、スダチ社が初めて区教委に接触したのは昨年10月。保護者支援のあり方を検討していた区教委は本年度に入り、「親子関係」を重視する支援方針など同社の事業について説明を受けた。
区教委は同社の取り組みについて「区の不登校児童・生徒全てに有効とは考えていなかった」が、効果を発揮するケースもあり得るかもしれないと考え、5月に「試行的に進める方向性を確認」。区立小学校2校に対し、保護者への声かけなどを提案し、同社とつないだという。
同社は8月5日、区との連携を発表。区教委も9日に「一部の学校で試行を始めた」とホームページに掲載したが、その後連携を否定する内容に修正し、同社にも提案を進めないと連絡した。
文書では一連の対応について「細部にわたって(スダチ社の)提案内容や進め方の確認が十分ではなかった」と記し、区教委の不登校対策方針も明確に伝えられていなかったとした。区教委事務局指導室の担当者は取材に、「スダチ社の方針がいい、悪いと見解を示したのではなく、共通理解を得られないままこれ以上進めるのは適切ではないと判断した」と話した。(中村真暁)