来年が「昭和100年」に当たることから、昭和天皇記念館(東京都立川市)が大規模なリニューアルを検討している。開館から来年で20年を迎え、設備の老朽化が進み来館者も減少。クラウドファンディング(CF)で資金を調達している。梶田明宏副館長は「昭和時代を知らない人が分かるように工夫していきたい」と話す。(山口登史)
同館は立川市と昭島市にまたがる「国営昭和記念公園」の一角で2005年に開館し、公益財団法人「昭和聖徳記念財団」が運営している。宮内庁から譲り受けた物をはじめ、昭和天皇ゆかりの貴重な品々を収蔵する。
展示されている国産初の御料車「ニッサンプリンスロイヤル」
約550平方メートルの展示スペースには、1953~69年に皇居仮宮殿(現在の宮内庁庁舎3階)で使用された「儀式用御椅子」や、67年から使われた国産初の御料車「ニッサンプリンスロイヤル」などを展示。生物学者でもあった昭和天皇が研究で使った皇居内の生物学研究所の一部を再現し、著書と紹介するコーナーもある。
入り口の自動ドアも故障し、館内は老朽化が目立つ
開館当初、年間5万人を上回った来館者は、近年1万人を下回るようになった。映像を流す機器の一部や、特殊な造りをした入り口の自動ドアが故障するなど、館内は老朽化が目立つ。同館は機器の更新とともに、プロジェクションマッピングによる大型映像の導入などを検討している。
映像を流す機器が故障し、画面には「調整中」の紙が貼られている=いずれも立川市の昭和天皇記念館で
CFでは2千万円を目標に9月末まで実施。8月27日時点で約680万円が集まった。詳細は昭和聖徳記念財団のホームページに掲載。問い合わせは、同財団=電042(522)2451=へ。