弁護士を取り込んで名義を悪用する「非弁業者」の手口を聞いた 「手伝ってほしい」に応じたら…

2024-08-18    HaiPress

弁護士資格のない事務所スタッフと称する業者が、ニセ電話詐欺などの被害金を取り戻せるとうたい、全国の約900人から計約5億円の着手金を集めたとされる弁護士法違反事件で、「共同受任先」とされた横浜市の弁護士が、東京新聞の取材に応じた。警視庁が立件した元衆院議員で弁護士の今野智博被告(49)=同法違反の罪で起訴=のグループに「利用された」と主張。言葉巧みに近寄ってくるグループの手口を明かした。(佐藤航)

「特殊詐欺の返金請求業務を一緒にやってくれる先生を探している」。昨年10月、今野被告の事務員を名乗る男が、神奈川県弁護士会の鈴木健弁護士(55)を訪ねてきた。

◆「今野先生だけでは処理しきれない」

鈴木氏が男から受けた説明では、今野事務所はインターネット広告を出し、東京都内の拠点に十数人のスタッフを置いて相談者の電話に対応しているという。男は「今野先生だけでは処理しきれない数の相談が来ている。手伝ってほしい」と語った。

無資格者に弁護士名義を貸して法律業務をさせることは、弁護士法で禁じられている。鈴木氏は、自分に相談してきたということは「ちゃんと弁護士が関与しているんだろう」と思い、手伝うことにしたという。

鈴木氏が今野被告の共同受任先として、自らも出演してネット広告を出し、業務を始めたのが今年2月末。以後3カ月弱で約300件を受任した。鈴木氏は「委任契約を結ぶ前に、自分で依頼者の意思を確認するようにしていた」と説明するが、スタッフが独断で着手金額を決めて契約した案件も少なからずあったと認めた。

◆望み薄い詐欺被害の返金手続きで荒稼ぎ

6月に今野被告とスタッフらが弁護士法違反容疑で警視庁に逮捕、7月に起訴された。話を持ちかけてきた男も含まれていた。鈴木氏は「事件になるまで悪質な業者と気付かなかった。自分は利用されただけ」という。

依頼者の怒りは収まらない。リフォーム詐欺で数百万円の被害に遭い、5月に約160万円で返金手続きを依頼した北関東の40代女性は「鈴木弁護士は私の事件の内容を理解していなかった。返金どころか、連絡も取れない状態が続いている」と憤る。

元衆院議員の弁護士法違反事件警視庁捜査2課が6月、無資格者に自らの名義を使わせて法律事務をさせたとする弁護士法違反(非弁提携)容疑で、元衆院議員で弁護士の今野智博容疑者を、無資格で法律事務をしたとする同法違反(非弁活動)で男女10人を逮捕。東京地検は7月、今野容疑者ら3人を起訴し、8人を不起訴とした。捜査関係者によると、名義を借りていたグループ側が今野被告に提携を持ちかけた可能性がある。神奈川県弁護士会は9日、今野被告の「共同受任先」となっていた鈴木健弁護士について懲戒手続きに入ったと公表した。

◇◇

◆着手金のほとんどがグループ側の手に

弁護士を「看板」に使った非弁提携業者とは、どのようなグループなのか。グループに利用されたという九州の法律事務所関係者によると、グループは弁護士広告の代理店を名乗り、首都圏を中心に、提携する弁護士を集めていた。

非弁業者グループの拠点だった雑居ビル=東京都港区で

「(依頼者からの)着手金のほとんどが広告費用や手数料などの名目で、グループ側に取られた」と明かす。詐欺事件で使われた口座の金融機関の担当窓口を検索できる独自システムを提供してきたものの、そもそも弁護士側が実際に活動するための費用は用意していなかったとみられる。

◆仕事のない弁護士が狙われやすい

東京弁護士会の非弁提携弁護士対策本部の小早川真行弁護士は「懲戒処分明けや高齢などで仕事がない弁護士が狙われやすい。業者と組んだ弁護士は『非弁提携と気付かなかった』というが、まともな弁護士なら被害者の利益にならないことはすぐ分かるはずだ」と指摘した。

依頼する人に対しては「事務員と称する人物と交流サイト(SNS)や電話でやりとりしただけで契約を結び、着手金を払うのは論外。実際に弁護士と会い、直接説明を受けた上で、悪徳業者がよく使う電子契約ではなく、紙の契約書に署名押印して契約を結んでほしい」と警戒を求めた。

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