「恵比寿ガーデンプレイス」内に令和6年(2024年)4月にオープンしたばかりのビール体験型施設「YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)」。ヱビスビールのルーツを辿れる「ミュージアムエリア」、醸造工程の一部を公開している「ブルワリーエリア」、とびきりのヱビスビールが味わえる「タップルームエリア」からなる館内をナビゲートします。
イラスト:杉崎アチャ
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江戸時代、恵比寿周辺は下渋谷村や三田村と呼ばれていた農村でした。その当時、渋谷川と三田用水に挟まれたこの一帯には大名の下屋敷が点在していたとされていますが、明治以降になると「日本麦酒醸造会社」(現・サッポロビール)が工場用地を取得。明治23年(1890年)に「恵比寿ビール」が発売されたあと、明治34年(1901年)にビールを積み出すための貨物駅「恵比寿停車場」、明治39年(1906年)には現在のJR恵比寿駅開業のきっかけとなる「恵比寿駅」も開設されています。ビール工場は昭和63年(1988年)に閉鎖され、跡地の再開発により、ビールの街から高感度なファッションタウンへと進化を遂げました。
恵比寿駅東口近くの「ビール坂」にはビールジョッキの形をした街路灯が並びます。工場で製造したビールを、馬車を使って運搬していたことから名付けられました。
JR恵比寿駅に降り立った瞬間、誰もが聞き覚えのあるヱビスビールのCMソング『第三の男』が聞こえてきます。かつて大量のビールを全国に届けるための貨物駅「恵比寿停車場」が開設されたのをきっかけにして、街の名前が「恵比寿」になりました。ブランド名が地名になることは、極めて珍しいことだといわれています。
まずは、ヱビスビール口との愛称をもつ東口から、「恵比寿スカイウォーク」を道なりに進み、横断歩道を渡ったところにある複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」へ。
戦争をも乗り越えた恵比寿工場ですが、昭和63年(1988年)に閉鎖し、生産拠点を千葉県船橋市に移転。そこから36年という時を経て、創業の地へと戻ってきた「YEBISU BREWERY TOKYO」は、体験施設を兼ね備えた醸造所としても話題です。
恵比寿駅東口から歩いて5分ほど。エントランスを抜けると、モザイクアートで大きく描かれた恵比寿様がお出迎え。入場は無料で、ツアー利用時のみ予約が必要です。
エントランスはセンター広場からセンタープレイスを突っ切った奥座に位置。その先には、恵比寿様のタイル画に圧倒される大階段と、コンサートホールのような空間が広がります。では、早速「ビールの可能性は無限大」をコンセプトにしたコンテンツ満載の館内を見学。館内には、トレードマークの恵比寿様に2匹の鯛があしらわれた「ラッキーヱビス」が隠されているとか。見学しながら探してみるのもおすすめです。
主に「ミュージアムエリア」「ブルワリーエリア」「タップルームエリア」と称する3つの空間に分かれ、過去、現在、未来のテーマで構成されている広々とした館内。見学するなら、ガイド付きツアー「YEBISU the JOURNEY」(1800円)がおすすめです。約45分間かけて館内を巡りながら、じっくりゆっくりヱビスビールの魅力を知ることができます。
最後は、ここで醸造されたビールが嗜めるタップルームで、フラッグシップビール「ヱビス ∞(ヱビス インフィニティ)」を堪能しましょう。華やかな香りと、凛とした味わいは季節を問わず格別です。醸造家のこだわりがギュッと詰まったビールで五感を満たしたあとは、恵比寿の街に繰り出して、はしご酒を楽しんでみてはいかがでしょうか。
明治33年(1900年)頃に実際に使われていた看板のほか、歴史あるポスターやパネル写真、発売当初の瓶、蓋付ビールジョッキなどが展示されています。
今でこそ賑やかな恵比寿の街も約130年前は、なにもない原っぱのような場所でした。そんなヱビスビールの誕生から、街とともに歩み、長きにわたって受け継がれてきた唯一無二のブランドルーツを「過去」と位置付けて紹介。貴重な写真や映像、展示とともに、その歴史を辿ります。
ヱビスビールの過去へとつながる「BEER is HISTORY」のゲートをくぐり、いざビールの歴史を学べる時空の旅へ。
スタッフ
ヱビスビールの始まりは明治20年(1887年)9月といわれています。ビール事業の将来性に着目した資本家たちにより、未開の地も同然だった恵比寿に日本麦酒醸造会社を設立。明治23年(1890年)2月25日にヱビスビールは誕生しました。現在でも2月25日は「ヱビスの日」として正式に認定されています。
お客様
このエリアには、日本にビールを広めた「東洋のビール王」こと馬越恭平氏に関する資料や、創業当時の貴重なビール瓶など、歴史的価値が高い品々が目白押しです。長きにわたって愛され続けるブランドのルーツを知ると、今飲んでいるヱビスビールがより味わい深く感じられますよね。
次ページに続く。醸造工程の一部を公開している「ブルワリーエリア」、とびきりのヱビスビールが味わえる「タップルームエリア」からなる館内をご紹介します。
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