技研製作所: 河川堤防決壊の「人災」を糾弾

2020-08-07    GIKEN LTD. TOKYO:6289

高知---- 近年相次ぐ河川堤防決壊の元凶となっている国の「土堤原則」を追及した株式会社技研製作所(本社:高知市、東証:6289)代表取締役社長・北村精男による著書『国土崩壊-「土堤原則」の大罪』が、全国の書店で販売され、好評を博しています。土堤原則の問題点は識者も指摘しており、本書などを通じて徐々に一般にも浸透してきています。しかし、メディアではほとんど取り上げられていないのが現状です。

土堤原則とは、河川堤防は原則として盛土で造り、内部に異物を入れてはいけないという国の決まりです。しかし、水を含んだ土がもろくなるのは自明の理。近年の豪雨災害で相次ぐ決壊は、土を盛っただけの土堤が増水や越水に耐えられない科学的要因を内包していることを証明しています。ところが、土堤原則を神聖視する専門家らがいるわが国では、科学にもとる前例主義で壊れることを前提とした土堤が造られ続け、多くの人命と財産が奪われています。近年の河川堤防の決壊は国が招いた「人災」とも言えます。土堤に杭を入れて壊れない堤防を造る技術は確立されており、識者も優位性を指摘していますが、土堤原則が壁となって実現できません。どうか本書および当プレスリリース、参考資料をご一読いただき、疑問点があればお問い合わせください。国民の生命と財産、積み重ねられた文化を守るためにも、皆様のお力で社会に問題提起していただきますようお願い申し上げます。

■国土崩壊-「土堤原則」の大罪

人命と財産を守る最重要課題である国土防災にこそ最新の科学技術を取り入れ、壊れない“責任構造物”を造らなければならない――。本書に通底するのはこの信念です。

著書では、堤防決壊の要因や土堤の脆弱性を解説。土堤原則の前例を踏襲して多くの犠牲を強いてきた国や関係者を糾弾し、科学に基づいて既存の構造物を全面的に見直す「思考革命」を訴えます。

その上で、津波や洪水、地震に粘り強く耐える連続壁を地中深く打ち込んだ杭材で造る「インプラント構造」や、液状化地盤を地震の緩衝材として生かしつつ地盤沈下を防ぐ「拘束地盤免震」など当社独自の工法を紹介。新工法、新素材導入による建設イノベーションの必要性を説きます。

■書誌情報

タイトル

国土崩壊-「土堤原則」の大罪

著者

北村 精男

本体価格

1200円(税別)

発行元

株式会社 幻冬舎メディアコンサルティング

発売元

株式会社 幻冬舎

【参考資料】

■ 土堤原則とは

1976(昭和51)年に発令された国の河川管理施設等構造令の19条は「堤防は、盛土により築造するものとする」と定めています。堤防内部には土以外のものは入れてはいけないという決まりで、これを「土堤原則」と呼んでいます。ただし、都市部や市街地において十分な用地が確保できないケースなど、特別な事情があってやむを得ない場合は、鋼矢板やコンクリートを用いた堤防を造っても良いとされています。この堤防を土堤に対して特殊堤と呼びます。

国土交通省は土堤原則のメリットとして以下の点を挙げています(平成26年3月、河川維持管理に関する技術研修テキスト・実務者編より)

①工事費用が低廉 
②材質が劣化しない 
③基礎地盤の変形に追随でき、被災しても復旧しやすい

しかし、ここでは国民の生命財産を守るために不可欠な「壊れてはいけない」という大前提がすっぽりと抜け落ちています。近年の豪雨災害で相次いでいる決壊が土堤の限界を示しているのは間違いありません。

■ 国による堤防強化策

「危機管理型ハード対策」と銘打ち、2020年度をメドに、氾濫リスクが高い約1800㎞で越水して決壊するまでの時間を引き延ばす対策を講じるとしています。鬼怒川堤防が決壊した15年の関東・東北豪雨が契機となりました。越水は決壊要因の7~8割を占めるとされます。

しかしながら、これも決壊を前提とした対応です。

対策内容は、堤防の天端(てんば・堤防の上部)の保護と裏のり尻(住宅地側のり面の最下部)の補強です。ただ、越水時に崩れやすい裏のり面(住宅地側のり面)の補強はなされず、その効果は疑問視されています。一部報道では、18年の西日本豪雨で、天端と裏のり尻が補強された岡山県の小田川堤防が決壊したと伝えられました。

■ 当社が提案する堤防

当社は、堤防天端の両肩から地盤にかけて杭(鋼矢板)を連続して打ち込み、構築した二列の壁体の間を杭でつないで補強する「インプラントロック堤防」を提案しています。

インプラントロック堤防は、越水や浸透で盛土が削られても壁体が堤防機能を保って破堤を防ぎます。地震時には地中深く根を張った壁体が液状化地盤の流動を抑制して地盤沈下を抑えます。越水や浸透、大地震が生じても「壊れない」ことを目指したこの堤防の工事は鋼矢板を打つだけで地盤改良は不要。しかし、土堤原則があらゆる破堤要因を防ぐこの堤防の実現を阻んでいます。

■鋼矢板を入れた河川堤防の性能

複数の研究者が鋼矢板で補強した河川堤防の有用性を認める論文を発表しています。

論文では、鋼矢板を打ち込んだ堤防模型を使って耐震性や耐越水性を調べた実験を紹介。①レベル2地震動が発生しても、適切に打つことで鋼矢板が盛土天端の沈下を抑制する、②越水で裏のり面が削られても、鋼矢板が堤防機能を維持して破堤を防ぐ――などと結論付けており、浸透破堤を抑止する効果にも言及しています。

■ 海外での施工実績

欧米でも河川堤防のベースは土堤ですが、災害による破堤を防ぐため、鋼矢板を入れて補強する工事が広がっています。技研グループも欧米を中心に同様の工事を多く手がけています。

海外では主に、堤防内に一列の壁体を構築する工事を手がけてきました。一列に打ち込んだ場合、地震時の地盤沈下の抑制効果はあまり期待できませんが、越水や浸透が発生した際の堤防維持機能は認められています。

土堤原則にこだわり「造っては壊され、壊れては造り」を繰り返す日本の一方で、欧米では土堤を鋼矢板などで補強した「壊れない堤防」造りが進んでいるのです。

■ 鋼矢板を入れた堤防に対する国の主張

土堤原則にこだわる国交省は、鋼矢板を打って堤防を補強する工法を①鋼矢板は腐食しやすく経年劣化で機能が低下する②鋼矢板と土堤との間に隙間ができ、安定性が保てない――などといった理由で認めません。

しかし、地中では鋼矢板の劣化の原因となる酸素は少なく、構造に影響を与えるような腐食はほとんど進みません(100年で1mm程度)。また、鋼矢板と土の間には土圧がかかり隙間ができることは少なく、仮に地震などで隙間ができたとしても、インプラントロック堤防は内部の杭壁自体が自立安定している構造物であり、堤防機能に影響を与えるものではありません。

■他工法による堤防との比較

決壊に耐える堤防として「耐越水堤防」と「スーパー堤防」の有用性が語られることがあります。耐越水堤防は、堤防の裏のりをシートやブロック、天端と裏のり尻をアスファルトやブロックで補強する堤防で、越水破堤防止に主眼を置いています。スーパー堤防は、堤防高の30倍ほどの幅を取って住宅地側を緩やかに盛土した堤防で、越水しても水を斜面に緩やかに流すことで被害を抑えられるとしています。

◇「耐越水堤防」・・・堤防の天端、裏のり、のり尻の3箇所を補強し、決壊を引き延ばす

◇「スーパー堤防」・・・堤防高の約30倍の幅を取って住宅地側を緩やかに盛土した堤防 
住宅地側の土地の取得・補償、造成、施設の再整備等に膨大な時間と費用が必要。

国はかつて、住宅側のり面にシートを張るなどして耐越水性を持たせた「フロンティア堤防」の普及を推進しましたが、その後、方針転換しました。「堤防があればダムは要らない」というダム不要論の広がりをおそれたためだといわれています。越水による決壊が相次ぐ近年、耐越水堤防の整備を訴える専門家は少なくないようです。ただ、耐越水堤防そのものには耐震性がありません。阪神淡路大震災や東日本大震災では、液状化現象で崩壊した堤防もありました。

スーパー堤防は越水や浸透による破堤に強く、必要に応じて地盤改良しているため地震に強いとされます。当社のインプラントロック堤防は耐越水、耐浸透、耐震機能でスーパー堤防に劣りません。

激甚化する豪雨災害への対策が急務な中、膨大な費用と工期が必要なスーパー堤防は論外です。当社のインプラントロック堤防は耐越水堤防に比べ、鋼矢板を打つだけで地震を含むあらゆる破堤要因を防ぐという優位性を持ちます。「壊れない」という大原則を守りつつ、経済性や工期などの観点でバランスの取れた当社の工法こそ、水害から国民の命と財産を守る現実的な対策と考えます。

■参院予算委員会での大臣答弁

3月4日の参議院予算委員会で赤羽一嘉国土交通大臣は、河川堤防強化の質問に対して台風19号の被害を踏まえ「抜本的な治水対策を講じなければいけないと考えており、今、省内でその取りまとめを図るべく有識者の会合を進めている。予防保全と事後保全についても調べがあり、30年後の維持管理、更新の費用、1年間の費用がどれくらい違うようになるか、予防保全をやった場合と事後保全をやった場合だと、5割違うというのも明らかになっている」「これまで土で造られてきた河川堤防について改めるべきではないかということも十分踏まえて、有識者からなる検討会でこの夏を目途に堤防強化の必要な箇所、強化の工法について取りまとめを行いたい」と答弁しました。

2月以降、有識者でつくる「令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」が開かれており、国交省のホームページで議事要旨などが公開されています。検討会での議論が土堤原則の転換につながるものなのか、引き続き注視していきたいと考えています。

■当社の主張

インプラントロック堤防の優位性を主張する形になりましたが、私たちの本懐は、土堤原則にとらわれ「壊れる堤防」の整備を続けて国民の安全をおびやかす国を糾弾し、土堤原則からの脱却、ひいては「壊れない堤防」の構築を実現することにあります。

土堤原則を疑問視しているものの、土堤を神聖視する国や一部の専門家を忖度して声を挙げない識者も存在します。当社社長の北村が著した「国土崩壊」は昨年11月の発刊後、豪雨被害の被災地をはじめ全国から多くの発送依頼や応援メッセージをいただいています。ただ、土堤原則の転換は一企業が挑むにはあまりに大きなテーマです。「やったことのないことはやらない」という国の前例主義を変えるにはまず、国民の生命や財産、文化をおびやかし続けている「土堤原則」という言葉を広く知ってもらう必要があります。どうか、貴社のお力添えをお願いいたします。

有識者の意見

土堤が抱える問題やインプラントロック堤防について地震防災工学を専門としている早稲田大学の濱田政則名誉教授に意見をうかがいました。濱田先生は本件に関して取材の問い合わせがあれば対応できるとおっしゃっています。取材いただける場合はご連絡の上、ぜひお話を聞いてください。

■濱田政則・早稲田大学名誉教授(アジア防災センター長、公益社団法人土木学会元会長)

  1. 土堤原則がこれまで果たしてきた役割 
    古来より、河川堤防は土質材料を主体として築造されてきた。この理由として、建設材料の入手が容易で、廉価であり、近隣に豊富な労働力があれば高度な建設技術を必要とせずに建設できたことが挙げられる。一方で河川堤防は流域周辺の人々の命と居住地を護る神聖な構築物であり、その中に鉄やコンクリートなどの異物を入れることは許されないという、科学的根拠のない慣習に囚われてきたことも事実である。 
    しかしながら、近年、地球規模での気候変動に起因していると考えられる猛烈な短時間大雨やゲリラ豪雨が世界各地に頻発している。わが国においても、流域の降雨量がしばしば堤防の設計降雨量を大きく超過し、越水や浸食による破堤が発生して、多くの国民の生命と財産を奪っている。これからも、このような洪水災害が一段と激甚化するものと予想される。 
    今後、従来からの設計雨量を大幅に超えるような降雨を想定して、河川堤防を強化することは、2013年より開始された国の「国土強靭化政策」の最重要課題として位置づけるべきである。土質材料に加えて、鉄鋼、コンクリートなどの異種材料を積極的に活用した強固な河川堤防の構造を開発して、重要な河川堤防を補強していくことが、将来の気候変動激甚化に対する喫緊の国家事業と考える。 

  2. 土堤の脆弱性について 
    土は水を含むとその強度と剛性が急激に低下するという大きな欠点があることは良く知られている。そのため河川堤防の構築に当たっては、締固めに適した土の粒度分布と含水比を制御して、堤体を盛り立てることが要求されてきた。しかし、堤防頂部での越水、のり尻部における浸食が堤体の安定性を著しく低下させ、堤防の完全崩壊に繋がる危険性を常に孕んでいる。 

  3. 堤防に打った鋼矢板が地震時の地盤沈下を抑止する効果について 
    河川堤防の肩の両側に鋼矢板を打設することで、地震時の堤防本体の沈下を大きく抑制することが可能となる。鋼矢板に囲まれた部分の土は水平移動が抑制されるため、たとえ上・下流斜面がすべり破壊を起こしても、頂部が大きく沈下することはなく、河の水を止めるという堤防本来の機能は維持される。 

  4. 鋼矢板が越水、浸透、浸食による破堤を防ぐ効果について 
    鋼矢板そのものが堅固な支持層に根入れされていれば安定であり、矢板に囲まれた部分はほぼ原形を維持することが出来る。 
    越水に対しては、鋼矢板と囲まれた土により完全破堤を防ぐことが可能である。のり尻からの浸透破壊に関しても、浸透水の流線が鋼矢板により遮断されることから、安全性が確保されると考えられる。浸食が発生しても、前面の矢板で止めるため、浸食が全体に拡大して堤体としての機能が失われるようなことはない。 
    盛土下に液状化層がある場合は液状化層の下部の非液状化層まで鋼矢板を根入れすることが望ましい。一般的に、液状化層の厚さは10m程度あるいはそれ以下であり、液状化層下の非液状化層に鋼矢板を根入れすることにより工事費が大きく増大することはない。 

  5. もし千曲川や鬼怒川にインプラントロック堤防が整備されていたら… 
    千曲川や鬼怒川の氾濫は地域社会に甚大な被害をもたらした。両河川の破堤箇所とその原因については今後詳細な調査が行われ、その結果が公表されることになると考える。 
    両河川について、災害発生前に脆弱な箇所の抽出が行われ、このような箇所について堤防の強化(鋼矢板の打設など)が行われていれば、今回の災害は防げたか、あるいは大幅に被害が軽減していたものと考える。 

  6. 鋼矢板の劣化についての考え方 
    鋼材を用いた土木構造物の耐久性を考える上で、腐食による劣化は重要な問題であるが、堤体中に打設された鋼材は常に土の中にあり、大部分の構造部位は、環境(湿潤状態の繰り返しや大気への露出など)に大きな変動が無ければ、設計上、腐食代などを考えることにより安全性は保たれると考えられる。 

  7. 「地震で鋼矢板と盛土の間に隙間ができる」という主張について 
    地震により、地中構造物と地盤の間に、揺れの違いにより隙間が発生することは良く見られることである。しかし、隙間が発生しても堤体の全体安全性には影響を与えないと考えられる。堤体の安全性は主として鋼矢板と、鋼矢板に囲まれた土によって保持されている。

■技研製作所について

当社は、杭圧入引抜機「サイレントパイラー」の開発と圧入機を用いた独自工法の創出、提案を通じ、世界の建設課題にトータルソリューションを提供するエンジニアリング企業です。圧入機は打撃や振動ではなく、油圧による静荷重で杭を押し込む機械。当社が1975年に開発し、建設公害の元凶と言われた杭打ち工事の騒音、振動を解消しました。その後も圧入原理のさまざまな優位性を生かし、作業用仮設工事が要らない“仮設レス施工”や低工費、短工期施工などを実現。多様な現場条件に対応する新機種、新工法を生み出し続けています。地震や津波、洪水に粘り強く耐える構造物を短期間で造る「インプラント工法®」は東日本大震災後に注目され、近年の地震、豪雨被災地の復旧工事や南海トラフ巨大地震、首都直下地震に備える地震津波対策のほか、幅広いインフラ事業に採用されています。圧入機による工法採用実績は世界40以上の国と地域に広がっています。

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